JOURNEY
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世界を知る旅に出る
VOL.02
インド
What's India
インドってどんな国?
いま、インドが大いに盛り上がっている。
人口の増加とともに生産力が上がり、ITをはじめ自動車産業なども好調。
超巨大国家・グレートインディア誕生はすぐそこ! ?
※実際にインドを旅した様子を『TRANSIT 62号』に掲載しています。
牛が道路を横切り、ガンジス川には死体が流れ、道を歩けば物乞いに囲まれる......。「混沌」という言葉が似合うインドは、旅人にとっては文化的に魅力的な地でありつづけるが、いま、経済面でも世界から熱視線を浴びている。右肩上がりで経済成長をつづけていて、2023年現在、インドのGDPはイギリス、フランスを抜いて世界5位*1。2027年には日本、ドイツを抜いて3位になる*2ことがほぼ確実視されているのだ。
なぜ、インド経済は好調なのか? その理由のひとつが、いわゆる「人口ボーナス」というもの。これは「経済発展は人口に対する若い人の比率が大きく影響する」という考え方。インドは生産人口と呼ばれる15~64歳の数が人口の約3分の2、9億5000万人*3という脅威の数字を誇る。まさに働き盛りの国といえるのだ。それに加えてIT産業の躍進。2023年時点で国内に23あるインド工科大学からは、グローバルに活躍する数々の人材を輩出していて、現在のGoogleのトップであるサンダー・ピチャイも卒業生。なぜITがここまで伸びたのか?という疑問の答えのひとつにはカースト制度の存在がある。生まれ落ちた家柄によって就職できる職業がある程度限定されてしまうインド社会では、新しく誕生したIT系の職はカーストの縛りがなく、実力次第で成果を残せる分野。世界トップクラスの人口から、優秀な人材がITに参入し、熱意も半端ではない。光ケーブルという現代のシルクロードを通じて、インドが世界を席巻する日も、近いかもしれない。
*1・2 参照:国際通貨基金 *3 参照:国連統計
TOPIC1
言語も宗教も多様
1947年にイギリスから独立する前は、インドは約600もの藩王国に分かれていた。それらが一致団結した結果が現在のインド共和国。 いまも宗教、文化や言語はバラバラ。ただ、そのことがアメリカなどの移民国家とは違った多様性を生むことになり、ITという自由な土壌を得たことで、いまインドの国力が花開いている。
インド人の宗教構成比
出典:インド国勢調査(2011年)
インドの主な言語の分布MAP
TOPIC2
人口が世界一に!
2023年 、インドの人口は14億人を超え、中国を抜いて人口トップに躍り出た。日本のような小さな島国だとネガティブ要素にもなりうる人口増加は、世界7位という広い国土面積をもつインドにとっては経済面ではプラス。人口の中心値が何歳かを示す中位年齢は28歳。日本の48歳に比べると若い国といえる。
世界人口の推移と予測
出典:国連「世界人口推計2022年版」
TOPIC3
GDP成長率は世界トップレベル
2023年現在、インドのGDPは世界5位だが、いまも成長をつづけており、2022年のGDP成長率は、中国の3.0%に対してインドは7.2%と中国を凌ぐ勢い。2030年にはGDPが世界3位まで上がり、2050年にはアメリカを抜いて、中国に次ぐ2位になるという予測も。*
*参照:PwC
各国の実質GDP成長率
出典:国際通貨基金(2022年)
TOPIC4
世界のIT業界を率いる
インド系人材
1990年代末にアメリカの下請けとして発展してきたインドのIT業界だが、2000年問題での活躍により、信頼度が上昇。グローバル企業のトップとして活躍するインド出身者も多い。インド国内のユニコーン企業(企業価値10億ドル以上のベンチャー)の数も2023年8月の段階で109社。*1世界3位の数を誇っていて*2、国内の発展も著しい。
*1・2 参照:JETRO
Neal Mohan
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Satya Nadella
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Sundar Pichai
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TOPIC5
政治上のスローガン
2014年に就任したインドのモディ首相が掲げたスローガンの数々は、海外を意識したものが多い。とくに「メイク・イン・インディア」は、外資企業を積極的に呼び込むことで雇用の創出を図るのが狙い。ほかにも行政サービスのデジタル化、国家インフラ開発計画など、さまざまな政策が進められている。
TOPIC6
悩みは生活習慣病?
現代人が抱える生活習慣病の一つ、糖尿病。世界的にも増加傾向にあるけれど、実はインドが世界2位の患者数を抱えている。経済成長に伴い、農業のようにカロリー消費が多い第一次産業ではなく、工業やサービス業など第二次、第三次産業に従事する人が増加するなどライフスタイルが変化。にもかかわらず、もともとの食文化のカロリー過多な食生活をつづける人の多さが原因とされる。
世界における成人(20-79歳)の糖尿病人口ワースト5
※20~79歳
出典:Diabetes Atlas第10版(2021年)
TOPIC7
インド映画で世界を席巻!
陽気な音楽に合わせて突然歌い踊り出すミュージカル映画をはじめ、独自の映画文化を培ってきたインド。実は製作数はハリウッド超えというれっきとした映画大国でもある。最近では『RRR』など世界的な大ヒット映画も生み出している。こちらも歌あり、踊りあり、アクションあり。総製作費97億円の圧倒的スケール感に息を飲む。
『RRR』(2022)
監督・脚本|S・S・ラージャマウリ 言語|テルグ語、英語
デジタル配信中
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